この胸が痛むのは
その翌年は領地に住む先代の祖父が王都にお越しになりました。
来る早々から先代は父の執務室で両親と姉と4人で、何事か話し合っておられました。
執務室からは時折母の泣き声と先代の怒声が漏れ聞こえてきました。


話し合いは決裂したようなのですが、先代は
『長期戦だ』と、言い。
帰るつもりはないと宣言しました。

我が家の雰囲気は最悪でした。
朝になると父はゲンナリした顔で登城し、母は頭が痛いと言い、姉は部屋から出なくなりました。
先代は家中に不機嫌を撒き散らしていました。 


私は例年開催の湖上花火祭りに合わせて、殿下
から別荘に招待を受けておりました。
それに父が急遽頼んだのか、兄のプレストンも
参加させていただくことになりました。
父はあの家から、兄と私を避難させたかったのでしょう。


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