この胸が痛むのは
第39話 アシュフォードside
クラリスにドレスを送る、と決めたのはつい最近だ。
贈るじゃない、送るだ。
トルラキアに持ち込んで、売り払って換金したらいいドレスを餞別に送る。
学園を卒業後、王太子から『何をしたいの?』と、問われて『外交を』と答えた。
「外交か……それはいいね」
「ジィン、俺は間違ってないよな?」
久しぶりに王太子をジィンと呼んだ。
兄から可否の返事はないが、冷たい視線もないから、間違ってないはずだ。
「……トルラキア語を習ってるんだって?
あれか、アグネス嬢の影響か?
前ダウンヴィル伯爵夫人がこっちのタウンハウス処分して、あっちに本格的に移住する、って話だしな」
それは初耳だった。
アグネスは知ってるのかな?
「移住に横槍は入れない、よな?」
「現当主夫人じゃ、止めるけれど。
年寄りの老後の計画を潰す気はないよ」
良かった、アグネスの祖母はとてもいい人だ。
アグネスの大好きなものを、俺は守りたい。
「トルラキアの次は、何処の言葉を習得するのか、また教えてくれ」
最低でも何ヵ国語を身に付けろ、と言うのか……
この王太子は人使いが荒い。
加えて王太子から、外務大臣としっかり連携して仕事を覚えろと言われ、最近はよく話をする。
贈るじゃない、送るだ。
トルラキアに持ち込んで、売り払って換金したらいいドレスを餞別に送る。
学園を卒業後、王太子から『何をしたいの?』と、問われて『外交を』と答えた。
「外交か……それはいいね」
「ジィン、俺は間違ってないよな?」
久しぶりに王太子をジィンと呼んだ。
兄から可否の返事はないが、冷たい視線もないから、間違ってないはずだ。
「……トルラキア語を習ってるんだって?
あれか、アグネス嬢の影響か?
前ダウンヴィル伯爵夫人がこっちのタウンハウス処分して、あっちに本格的に移住する、って話だしな」
それは初耳だった。
アグネスは知ってるのかな?
「移住に横槍は入れない、よな?」
「現当主夫人じゃ、止めるけれど。
年寄りの老後の計画を潰す気はないよ」
良かった、アグネスの祖母はとてもいい人だ。
アグネスの大好きなものを、俺は守りたい。
「トルラキアの次は、何処の言葉を習得するのか、また教えてくれ」
最低でも何ヵ国語を身に付けろ、と言うのか……
この王太子は人使いが荒い。
加えて王太子から、外務大臣としっかり連携して仕事を覚えろと言われ、最近はよく話をする。