この胸が痛むのは
王妃陛下は慌てて、アローズに使いを出して、ドレスの件は他言無用と箝口令を出す使者を立てた。
王太子は冷静に、今直ぐに侯爵家へ行け、と言う。
ドレスはともかく、名前入りのカードはまずい。
クラリスに俺の目の前で破いて貰え、と付け加える。
震えるイライザ嬢をギルバートは抱き締めていた。


わかってる、わかってる、自業自得だ。
人任せにした俺が悪かった。
俺が好きなのは妹のアグネスだと、ギルから聞いていると思ったんだ。
気が焦って足がもつれそうになる。
馬を出すか、馬車より馬の方が早い。

とにかくアグネスの目に触れさせたくない。
平日の午前中、今なら彼女は学園か。


護衛の騎士が追いかけてくる。
焦っている時こそ、馬は危険だと言う。
仕方なく馬車を出す。  


自業自得、その言葉だけが頭の中で繰り返された。

< 236 / 722 >

この作品をシェア

pagetop