この胸が痛むのは
当時、遺体があがらない事を不審に思ったリヨン王太子の手がバロウズ王国内に散らばっていて、ラニャンに王女の身柄を預けて居たのだ。
その時、ラニャン側が提示してきたのは自国の
第4王子をフォンティーヌ女王の王配に就かせたいという事だったので、王女本人とウチの王太子は了承した。

バロウズが王女に求めたのは、2つの国の間に
存在する海の領海を広げて貰う事だった。
ウチには女王に娶って貰う王子は居なかったし(俺は国内、エディは王女より12歳年下だった)
冷静な王太子は、こう主張した。


「あの体型では、子供が出来るかわからない。
 うまく妊娠しても、出産は難しいだろう」

……それならば、実らない果樹に水を与えることはない、と。


フォンティーヌ王女と王太子夫妻は仲が良かったが、それとこれは別、と、考えるのが兄ユージィンだ。


ウチはリヨンより海洋に詳しい者が多かった。
ラニャンに王女の身柄を預ける前には、夜な夜な彼等と国王陛下、王太子は白熱した議論を交わしていた。


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