この胸が痛むのは
私がまだ参加出来ない夜会。
確か来月に開かれるのだと殿下からは聞いていました。
『君がデビュタントするまでは、誰とも踊らない』
それをずっと信じていた。


「来週、クラリスの19の誕生日があるでしょう?
 それに合わせて開くのね、って」

「……」

「それも、殿下からはドレスも贈られたでしょう、なんて。
 マダムアローズで、ガードナー侯爵令嬢が殿下に頼まれて代理で来たと、お話されていたそうなの。
 それが聞こえていたらしくて。
 根も葉もない噂を信じるなんて、今まで親しくさせていただいていたけれど、気分が優れないからと、帰ってきたわ」

「殿下からお姉様に、ドレスを贈られたと噂に?」

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