この胸が痛むのは
少しはきまりが悪かったのでしょうか?
母は早口に一気にそれを私に話しました。
そして、これこそが伝えたいことだと言うように告げました。


「幼い貴女から、身の丈の合わない高価な贈り物をされても、殿下はお喜びにならないわ。
 貴女の付き添いには、私ではなくてクラリスが登城するの」


盗まれた!
そう思いました。
姉が私の気持ちに気付いていたとは思いません。
母なのです。
母は私の殿下に対する淡い気持ちに気付いていたはずです。
その上で、私では幼すぎて駄目だと判断したのです。

もし、私がまだ9歳ではなくて、プレストンと同じ13歳だったとしたら?
母は私を応援したでしょう。 
 
でも、私はアシュフォード殿下より7つも年下で。
殿下に相応しい女性になるまで後何年かかるか。
私では殿下の婚約者候補にも入れないでしょう。
それで母は……それをクラリスに託したのです。


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