この胸が痛むのは
「宝石を……ふたりは持ち帰っていたかも知れません」

「宝石を?どういう事?」

「おばあ様が今日お呼びになったのは、国外に持ち出せない宝石を整理されようとしていて、お母様とお姉様に分ける為だったと思います」

「それを知っていた者か? おい、スタイル!」

兄が隊長を見やって、隊長が頷いて。


「タウンハウスの使用人、及びその関係者を調べます」

祖母のところで働く皆は、好い人ばかりなのに。
私は余計な事を言ってしまったかも?
彼等が隊長から暴力を振るわれたら?


「大丈夫だ、調べるのが専門の人間を動かすだけだよ。
 おばあ様の使用人リストはこちらにも提出されてるし、疑いを除くだけだから」

「それならいいのですけれど……」

不意に兄に抱き寄せられて。


「不安だろうけれど、まだ殿下にはお知らせ出来ないのはわかって。
 大丈夫、意外とあのふたりだよ、平気な顔して帰ってくる、だから大丈夫」

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