この胸が痛むのは
それは祖母も同じ様で、両手でカップを包み温めながらも、飲むことは出来ないようでした。
「姉の忘れ物とは何だったのですか?
護衛に取りに行かせなくてはいけない物だったのでしょうか?」
「……貴女は気にしなくてもいいのよ」
「だって、そんなことをクラリスが言わなければ、こんな事には!」
祖母のタウンハウスから侯爵家までは同じ貴族街。
王城を挟んで反対側に位置していますが、それ程離れていないから護衛は必要ないと思ったのでしょうが。
護衛さえ付いていれば、こんな事にはならなかったのだと。
クラリスさえ、忘れ物を……
「……ケイトリンが『アグネスのハンカチ』を忘れたの」
ケイトリンとは母の名前でしたが、『アグネスのハンカチ』とは?
「ケイトリンはあれをずっと手離せなくて。
それを知ってるクラリスが護衛に、申し訳ないけれど、とお願いして取りに戻らせたの」
「私のハンカチって……?」
「貴女が初めて刺繍をしたハンカチよ、お母様にプレゼントしたでしょう?」
「姉の忘れ物とは何だったのですか?
護衛に取りに行かせなくてはいけない物だったのでしょうか?」
「……貴女は気にしなくてもいいのよ」
「だって、そんなことをクラリスが言わなければ、こんな事には!」
祖母のタウンハウスから侯爵家までは同じ貴族街。
王城を挟んで反対側に位置していますが、それ程離れていないから護衛は必要ないと思ったのでしょうが。
護衛さえ付いていれば、こんな事にはならなかったのだと。
クラリスさえ、忘れ物を……
「……ケイトリンが『アグネスのハンカチ』を忘れたの」
ケイトリンとは母の名前でしたが、『アグネスのハンカチ』とは?
「ケイトリンはあれをずっと手離せなくて。
それを知ってるクラリスが護衛に、申し訳ないけれど、とお願いして取りに戻らせたの」
「私のハンカチって……?」
「貴女が初めて刺繍をしたハンカチよ、お母様にプレゼントしたでしょう?」