この胸が痛むのは
……私が初めて刺繍したハンカチ?
もしかしたらあのハンカチの事かしらと、思い出そうとしました。
姉が刺繍の練習をしていた側で、ハンカチと糸を分けていただいて、見様見真似で糸を刺した習作とも言えない、子供の。
……あれは何年前?
5、6年も前の? 母へのプレゼントなんかじゃない。
あんまりに拙くて、イライラして見たくなくて。
捨てるようにメイドに頼んだ……あれを?
あれをずっと、母は持っていて?
それを姉は知っていて?
翌日にでも届けていただけるのに、あれを取りに行かせた?
あんな物がそれ程大事だと思えないのに。
姉が、祖母が、護衛の騎士までもが、当然のように?
◇◇◇
兄が隊長と共に捜索に出て。
一体どのくらいの時が経ったでしょうか……
父からも兄からも、何の報せもありません。
私は祖母と身を寄せ合っていました。
動ける男衆を10人程残して、皆出ていました。
邸の中は怖いくらい静かで。
誰かに何かを指示して、私も動かなければいけないのか。
それとも余計なことはせず、このまま待っているだけでいいのか。
もしかしたらあのハンカチの事かしらと、思い出そうとしました。
姉が刺繍の練習をしていた側で、ハンカチと糸を分けていただいて、見様見真似で糸を刺した習作とも言えない、子供の。
……あれは何年前?
5、6年も前の? 母へのプレゼントなんかじゃない。
あんまりに拙くて、イライラして見たくなくて。
捨てるようにメイドに頼んだ……あれを?
あれをずっと、母は持っていて?
それを姉は知っていて?
翌日にでも届けていただけるのに、あれを取りに行かせた?
あんな物がそれ程大事だと思えないのに。
姉が、祖母が、護衛の騎士までもが、当然のように?
◇◇◇
兄が隊長と共に捜索に出て。
一体どのくらいの時が経ったでしょうか……
父からも兄からも、何の報せもありません。
私は祖母と身を寄せ合っていました。
動ける男衆を10人程残して、皆出ていました。
邸の中は怖いくらい静かで。
誰かに何かを指示して、私も動かなければいけないのか。
それとも余計なことはせず、このまま待っているだけでいいのか。