この胸が痛むのは
侯爵が一緒に邸へ参られますかと、尋ねてくれたが。
まだ、俺には確認したい事もあり、後で伺わせて欲しいと伝えた。
『良ければ、レイノルド、君も』と、侯爵が誘ってくれたので、頭を下げながら、またレイの肩が大きく揺れた。
侯爵はレイがクラリスに想いを寄せていた事に気付いていたのだろう。
王城から来た、典医を除いた俺達5名には、やるべき事がある。
御者の身体を調べた典医は、死後3時間前後かと言った。
その時間なら、既に雨は上がっていた。
何故、馬車は滑落したのか。
うまくいけば、馬車の轍の跡が見つけられるだろう。
今日が平日である事も幸いした。
貴族達があの坂を下って、城下へ遊びに行くのは週末が多く、下からは関所を通る為、平民は貴族街に来る事は叶わない。
つまり、今日はあの坂を下る馬車はほとんど無い。
まだ関所の役人に王家が動いてると知られたく無いので、臨機応変に話を作れるレイに、雨が上がってから通過した馬車がないかを訊いてきて貰おう。
ふたりが乗っていた馬車の車輪の太さは確認した。
夕方雨が止み、泥濘に遺された侯爵家の馬車以外の痕跡があれば。
目撃者、もしくは犯人の可能性がある。
あの坂を調べに行く。
◇◇◇
侯爵家の集まりに参加する前に、一度王城へ戻る。
案の定、王太子は夕食も取らず、俺の帰りを待っていた。
まだ、俺には確認したい事もあり、後で伺わせて欲しいと伝えた。
『良ければ、レイノルド、君も』と、侯爵が誘ってくれたので、頭を下げながら、またレイの肩が大きく揺れた。
侯爵はレイがクラリスに想いを寄せていた事に気付いていたのだろう。
王城から来た、典医を除いた俺達5名には、やるべき事がある。
御者の身体を調べた典医は、死後3時間前後かと言った。
その時間なら、既に雨は上がっていた。
何故、馬車は滑落したのか。
うまくいけば、馬車の轍の跡が見つけられるだろう。
今日が平日である事も幸いした。
貴族達があの坂を下って、城下へ遊びに行くのは週末が多く、下からは関所を通る為、平民は貴族街に来る事は叶わない。
つまり、今日はあの坂を下る馬車はほとんど無い。
まだ関所の役人に王家が動いてると知られたく無いので、臨機応変に話を作れるレイに、雨が上がってから通過した馬車がないかを訊いてきて貰おう。
ふたりが乗っていた馬車の車輪の太さは確認した。
夕方雨が止み、泥濘に遺された侯爵家の馬車以外の痕跡があれば。
目撃者、もしくは犯人の可能性がある。
あの坂を調べに行く。
◇◇◇
侯爵家の集まりに参加する前に、一度王城へ戻る。
案の定、王太子は夕食も取らず、俺の帰りを待っていた。