この胸が痛むのは
第50話 アシュフォードside
翌日のお別れの会が終わり、それが済み帰る頃には。
さすがに鈍感な俺でも、彼女が組み紐を結んでいない事に気付く。
「あの、さ……あの、手首の」
帰ろうとした俺を見送りに出たアグネスは小首を傾げる。
これは、この感じは。
俺が聞きたくないことを言い出す、その前触れ。
「切れたんです、切れてしまいました」
覚悟した別れの話ではないので、安心……?
安心したが、せっかく俺の手元にこれが来て、
お揃いで付けられる事になった翌日に?
それを口に出しそうになって、俺は。
そうだった、アグネスの組み紐が切れた日は彼女の母と姉が亡くなった日だ。
身に付けるものが、何もしていないのに壊れたり切れたりする現象は、そういう前触れの様に言われていて。
この話題は避けるべきだと思い、今度トルラキアに行ったら、またあのおばさんから買おうと、
だけ言った。
だが、彼女は直ぐに返事をしてくれない。
さすがに鈍感な俺でも、彼女が組み紐を結んでいない事に気付く。
「あの、さ……あの、手首の」
帰ろうとした俺を見送りに出たアグネスは小首を傾げる。
これは、この感じは。
俺が聞きたくないことを言い出す、その前触れ。
「切れたんです、切れてしまいました」
覚悟した別れの話ではないので、安心……?
安心したが、せっかく俺の手元にこれが来て、
お揃いで付けられる事になった翌日に?
それを口に出しそうになって、俺は。
そうだった、アグネスの組み紐が切れた日は彼女の母と姉が亡くなった日だ。
身に付けるものが、何もしていないのに壊れたり切れたりする現象は、そういう前触れの様に言われていて。
この話題は避けるべきだと思い、今度トルラキアに行ったら、またあのおばさんから買おうと、
だけ言った。
だが、彼女は直ぐに返事をしてくれない。