この胸が痛むのは
「アグネス、そろそろ……」
声をかけてきたのは、アグネスの従兄。
15歳のケネス・ダウンヴィル。
こいつは昨夜の家族のみ、と言われた集まりから、常に俺とアグネスの間に割り込もうとしてくる奴だ。
目的は明らかだが、これこそ不敬と言いたくなる。
状況が状況だけに、アグネスだけに関わっているわけにもいかず、側に居るのに昨夜から俺達は満足に話せていなかった。
「もしかして、明日も来てくださるのですか?
それはありがとうございます」
慇懃無礼にお礼の言葉を口にしながら、ケネスはアグネスの肘に手を……こう、添えやがった。
いとこ同士の距離感は、その家各々だろうから、あれだが、こいつのは。
父の侯爵や兄のプレストンも、アグネスだけで見送るのを、見逃してくれているのに。
あのお揃いの組み紐はこういう時、威力を発揮したんじゃないかとつくづく思う。
声をかけてきたのは、アグネスの従兄。
15歳のケネス・ダウンヴィル。
こいつは昨夜の家族のみ、と言われた集まりから、常に俺とアグネスの間に割り込もうとしてくる奴だ。
目的は明らかだが、これこそ不敬と言いたくなる。
状況が状況だけに、アグネスだけに関わっているわけにもいかず、側に居るのに昨夜から俺達は満足に話せていなかった。
「もしかして、明日も来てくださるのですか?
それはありがとうございます」
慇懃無礼にお礼の言葉を口にしながら、ケネスはアグネスの肘に手を……こう、添えやがった。
いとこ同士の距離感は、その家各々だろうから、あれだが、こいつのは。
父の侯爵や兄のプレストンも、アグネスだけで見送るのを、見逃してくれているのに。
あのお揃いの組み紐はこういう時、威力を発揮したんじゃないかとつくづく思う。