この胸が痛むのは
そうか、もし俺より先にお前が死んだら、ものすごい数のカサブランカで飾ってやろう。
王太子にも必ず、伝えてやるから。


正面の家族席に座って居るのは、前列に侯爵、プレストン、アグネス。
後列に先代と先代夫人。
その後に、ダウンヴィル伯爵、嫡男のケネス、伯爵夫人に、ご令嬢、そして前伯爵夫人の順番だった。
先代が悲しみより不機嫌に見えるのは、後方に下げられた席順か。
それが俺の思い込みならいいのに。

ベールを被り、下を向いているアグネスはこちらを見ない。
アグネスや侯爵やプレストン、おばあ様は食事や睡眠はきちんと取れているのだろうか。


余計なお世話をつらつらと考えながら、真ん中の通路を挟んで左右に分けられた参列客に目をやる。
第2王子の婚約者なので最前列に案内されたイライザ嬢と兄ガードナー侯爵、母の前侯爵夫人。
3人とも雰囲気がよく似ていて気弱な小動物が仲良く並んでいるのは微笑ましいのに、将来の義姉はもう二度と俺に微笑んではくれないようで、絶対にこちらを見ないようにしていて、ちょっと傷付く。

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