この胸が痛むのは
第54話 アシュフォードside
スローン侯爵家の夫人と令嬢が亡くなったのは
事故ではなく、事件だったのだと知らされて、
議会会場は一斉にざわめいた。
だがそれも、グレイシー姉妹の姉の証言と、その後に読み上げられた妹の証言のせいで、皆が口を閉じ。
沈黙が支配した。
この場で初めて聞かされた国王陛下は怒りに震え王太子に指を突き付けた。
「お、お、お前は何を?
何をしたか……わかって……」
「わかって? もちろんです。
何もわかっていらっしゃらないのは、陛下です」
国王陛下の怒りなど、気にもしていない、と言うように。
王太子は立ち上がり、周囲を見回した。
「昨晩、このグレイシー伯爵家の御者が助けて欲しいと私の元に来た。
その証言を元に容疑者ローラ・グレイシーの身柄を拘束した。
だが、それで終わりの話ではないのは、皆もわかっている事だろう」
「やめろ、やめろ! ジィン!
解散、解散だ! 議長、今日はこれで!」
興奮して立ち上がった国王陛下は王太子が自分を見ないので、今度は議長に命じようとした。
そんな国王陛下に、王太子は冷たい視線を送った。
「お間違いなきように、陛下。
貴族議会において、陛下はそれを見守るのみ、と。
議会の独立性を認める為の規約をお忘れですか?」
事故ではなく、事件だったのだと知らされて、
議会会場は一斉にざわめいた。
だがそれも、グレイシー姉妹の姉の証言と、その後に読み上げられた妹の証言のせいで、皆が口を閉じ。
沈黙が支配した。
この場で初めて聞かされた国王陛下は怒りに震え王太子に指を突き付けた。
「お、お、お前は何を?
何をしたか……わかって……」
「わかって? もちろんです。
何もわかっていらっしゃらないのは、陛下です」
国王陛下の怒りなど、気にもしていない、と言うように。
王太子は立ち上がり、周囲を見回した。
「昨晩、このグレイシー伯爵家の御者が助けて欲しいと私の元に来た。
その証言を元に容疑者ローラ・グレイシーの身柄を拘束した。
だが、それで終わりの話ではないのは、皆もわかっている事だろう」
「やめろ、やめろ! ジィン!
解散、解散だ! 議長、今日はこれで!」
興奮して立ち上がった国王陛下は王太子が自分を見ないので、今度は議長に命じようとした。
そんな国王陛下に、王太子は冷たい視線を送った。
「お間違いなきように、陛下。
貴族議会において、陛下はそれを見守るのみ、と。
議会の独立性を認める為の規約をお忘れですか?」