この胸が痛むのは
バージニアには、2つの選択肢を用意した。
バージニアにそれを告げる役目は、自分から志願した。
先ずはお決まりの。


「修道院? 嫌よ、行かない!」

そう言うと思ったよ。
俺もお前の居る修道院で祈ることは出来ないし、神様の方からだって神を信じない、神を恐れないお前に、形だけ祈りを捧げられても迷惑なだけだ。

それで、もう一つの案を出す。
俺のおすすめはこちらだ。


「じゃあ、嫁に行け」

「お嫁に? 私はまだ14よ? 何処に嫁げと言うの!
 訳のわからない小国の、取るに足りない王族とか、絶対に、嫌!」


バージニア、お前は本当に馬鹿だな。
お前みたいな王女を外に出すわけないだろ?
押し付けられた国から、うちは国交を断絶されるよ。


「違うよ、バロウズの有力貴族で、相手は初婚。
 ほら、この前教えてあげただろ?
 あの辺境の」

俺は得意の王子スマイル。
胡散臭くて心がこもっていない……

一瞬、期待に輝いた妹の顔が絶望に染まった。
酷い兄かも知れないが、俺はその顔が見たくて。


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