この胸が痛むのは
その答えは、直ぐに明かされました。


「あれさ、俺の部屋にある」

兄が私に言ったのです。
学園から帰宅して、メイドからその話を聞いた兄が、私の部屋を訪れて、開口一番言ったのです。
もちろん、その前にはレニーに下がるように言って、ふたりきりになってからです。


「お前の所から持ってきたんだけど。
 父上は俺の部屋までは探さなかったんだな」 

「……どうしてお兄様が?」

「アシュフォード殿下から手紙を貰って、クラリスに間違えて送ったドレスを回収したい、って」

「……」

「無理なら、父上に謝って取りに行かせて貰うけれど、って書いていたけど」

やはり、あれは間違えて送られたものなの?
殿下はプレストンに頼んで、王太子殿下は父に
返却を命じた?


「ややこしい感じがしたけど、殿下にはお世話になったしな。
 父上に頭下げても、また怒られそうだと思ったら気の毒で。
 お前も最近会えてないのに、また出禁にされたらな?」

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