この胸が痛むのは
「それは誰の事も疑っていないから……」

「俺には真剣に探して返すおつもりがない様に 思えるけど?」 

「王太子殿下がお命じになったのよ、そんなはずはないでしょう」

「王太子殿下がどんな風にお命じになったかは
知らないけど、少なくともアシュフォード殿下 の方は申し訳なさそうな文面だった。
 つまり王家のミスで間違えて送られたのに、
呼びつけられて返却しろと言われて、父上は怒ったんだ。
 探しましたが見つかりません、そう返事を王家に父上が返しているんなら、当然俺だってそれに従うよ」

「……ありました、と殿下にはお知らせしないつもりなの?」

「スローン侯爵家はひとつだろ?
 この家の何処かにあるのはわかってて、これ
以上探さないと父上が意思表示をしたからには、お前も殿下には自分からは言うなよ?」


一体どれ程の理由があって、父は王太子殿下に反抗をするのでしょう。
王家なら、臣下である父を呼び出して命じるのは当たり前の事です。
それなのに、どうして父は怒っているの?
そんな事をして、お咎めはないのでしょうか? 
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