この胸が痛むのは

第61話 アシュフォードside

国王陛下の追い落としに成功した議会終了後、
王太子から話があった。
被害者のスローン侯爵への対応だ。 

俺の口から侯爵へ、謝るのは決めていた。
王家からの謝罪があるまで、スローンの方には
事件の詳細は漏らすな、と議会に召集した各家門には厳命していた。

侯爵は事故ではないと知っているが、犯人は誰かまだご存じない。
その原因が俺で、犯罪を教唆したのが第1王女である事も。

バージニアと教唆されて実行したローラ・グレイシーへの罰をどうするのかは、侯爵を交えて、納得して貰えるよう決定しようと言う。
それについて、俺にも異論はないが。


「例のドレスはまだ、あっちにあるんだろ?
 ついでに、その返却も命じて……」

「待ってください。
 もちろん、俺の浅はかなやり方が元々の原因で、それを隠すつもりはないし、きちんと侯爵には謝罪するつもりです。
 ですが、今も悲しみのなかにおられる侯爵に、クラリスの部屋に入り、ドレスをこちらまで持参しろと命じるなんて」

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