この胸が痛むのは
「プレストン・スローンから連絡はあったのか?」 

「……」 

「まだなんだな?
 明日、侯爵を登城させる。
 そろそろ復帰もして貰わないといけないしな?
 大臣決済の書類が山積みだ。
 明日までに、スローンにどう説明して謝罪するのか、考えておけよ」

「わかりました」


プレストンからはまだ返事はない。
王太子の言う通り、侯爵を呼び出して謝罪し、
ドレスの返却を頼むしかないのか……


「リヨンへ行く話だが、やはり3年くらいはな。
 王太女の『立太子の礼』から後の女王就任まで、頼んだからな。
 王配予定のラニャンの王子とも懇意になれるよう……
 言葉はどこまで話せる?」

「リヨンはほぼマスターしているけれど、ラニャンはまだ始めたばかりで……」

「じゃあ、ラニャン語の教師をリヨンへ同行させて、あっちで2年以内には完璧に話せるようになれ。
 王子が母国語を話せるお前を信用して、頼るようになるくらいにな?」


こっちから教師まで同行させるのか。
王太子の頭には、リヨン人のラニャン語教師を付けるのは考えられないらしい。


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