この胸が痛むのは
「だからこそ、殿下にお尋ねしたいですね。
 バージニア王女の罪は、本人と国王に負わせるだけですか?」

侯爵の声は静かだが、目が何かの光を帯びている。
殿下とも、陛下とも、敬称を付けずに話す。


先祖代々、国の財務の長を勤めてきた。
清廉潔白を掲げてきた、誰よりも王家に対して
忠誠を誓う。

現財務大臣、ベンジャミン・スローン侯爵は。
バロウズ王家を、敵と認識したように見えた。 


それ以上、バージニアについて家族である俺達への断罪の言葉は続けられることはなかったが。

俺も、ドレスの事やその他のやらかしたあれこれの責任だけじゃなく、妹であるバージニアについても責任は感じている。

3年も前にストロノーヴァ先生から指摘されて、バージニアの危うさは認識していたのに。



『注意を受ければ、反省などせず誰かのせいにして八つ当たりをする』

『何か言いたいことはあるのでしょうが、他者への暴力で発散している愚かな甘えた暴君だ』

『王家の御典医にご相談なさるか、甘えを治す為に夏休みの間だけでも、何処かの修道院へでも預けられたらいかがですか』


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