この胸が痛むのは
後日、指定された日にアグネスを連れてストロノーヴァ公爵邸へ向かった。
もちろん2度目の訪問だとは言っていないが、さりとて初めてだとも言わない。
馬車の中で珍しくアグネスから俺に話が振られた。
「ストロノーヴァ先生はお変わりになられました。
殿下も驚かれると思います」
「ちゃんとしたら凄く素敵で、君の姉上が一目惚れしたそうだよ」
「……」
何か不味いことを言ってしまったのか?
楽しそうだったアグネスが黙ってしまった。
「……姉は、クラリスは。
ストロノーヴァ先生を追いかけて、トルラキアへ行こうとしていたのは本当ですか?
そのお手伝いを殿下がしようとしていたのも?」
「そうだよ、姉上から聞いたの?」
「……どうして?」
「どうして、って、そう約束したから」
「それは、もしかして、や……」
彼女が言いかけた途中で、馬車が止まり。
並走していた護衛騎士から公爵邸到着を告げられた。
「帰りの馬車で、また話そうか」
少しずつ、あの頃の話が出来るかもと思い、俺はアグネスに言った。
先に降りて、彼女に手を差し出す。
その時の彼女がどんな表情をしていたのか、ちゃんと思い出せない。
その後の催眠術で語った彼女の言葉が衝撃的過ぎたから。
もちろん2度目の訪問だとは言っていないが、さりとて初めてだとも言わない。
馬車の中で珍しくアグネスから俺に話が振られた。
「ストロノーヴァ先生はお変わりになられました。
殿下も驚かれると思います」
「ちゃんとしたら凄く素敵で、君の姉上が一目惚れしたそうだよ」
「……」
何か不味いことを言ってしまったのか?
楽しそうだったアグネスが黙ってしまった。
「……姉は、クラリスは。
ストロノーヴァ先生を追いかけて、トルラキアへ行こうとしていたのは本当ですか?
そのお手伝いを殿下がしようとしていたのも?」
「そうだよ、姉上から聞いたの?」
「……どうして?」
「どうして、って、そう約束したから」
「それは、もしかして、や……」
彼女が言いかけた途中で、馬車が止まり。
並走していた護衛騎士から公爵邸到着を告げられた。
「帰りの馬車で、また話そうか」
少しずつ、あの頃の話が出来るかもと思い、俺はアグネスに言った。
先に降りて、彼女に手を差し出す。
その時の彼女がどんな表情をしていたのか、ちゃんと思い出せない。
その後の催眠術で語った彼女の言葉が衝撃的過ぎたから。