この胸が痛むのは
第74話 アシュフォードside
違う、違う、確かに3回言ったけど!
そんなんじゃなかった、先生の代わりに言っただけなんだ!
それを聞かせてくれたら、勇気を貰えるだったか、頑張れるとか、何とか言われて。
クラリスは楽しそうに笑っていたけど、俺は楽しんでなんかいなかった!
カードを返して欲しくて言ったんだ!
いつの間にか俺の背後に回っていた先生が俺の肩を押さえる。
アグネスに知られていた事に動揺して体勢が動いていたのだ。
見上げると先生の赤い瞳と視線が絡んだ。
『違います』と否定したいのに、首を振られる。
「殿下もクラリスも、あんなに上手にトルラキア語を話せるなんて教えてくれなかった。
私の知らないところでふたりで勉強して、おしゃべりしていたのだ、としか……」
ひとりしか教えたくない教師に、王城で教えて貰っていたんだ。
先に習得を終えていたクラリスとは、同時に習っていない。
あの日まで、学園ででも二人きりで会った事もなかった。
いつだって、並んで歩く時だって、間にレイを挟んでいた。
そんなんじゃなかった、先生の代わりに言っただけなんだ!
それを聞かせてくれたら、勇気を貰えるだったか、頑張れるとか、何とか言われて。
クラリスは楽しそうに笑っていたけど、俺は楽しんでなんかいなかった!
カードを返して欲しくて言ったんだ!
いつの間にか俺の背後に回っていた先生が俺の肩を押さえる。
アグネスに知られていた事に動揺して体勢が動いていたのだ。
見上げると先生の赤い瞳と視線が絡んだ。
『違います』と否定したいのに、首を振られる。
「殿下もクラリスも、あんなに上手にトルラキア語を話せるなんて教えてくれなかった。
私の知らないところでふたりで勉強して、おしゃべりしていたのだ、としか……」
ひとりしか教えたくない教師に、王城で教えて貰っていたんだ。
先に習得を終えていたクラリスとは、同時に習っていない。
あの日まで、学園ででも二人きりで会った事もなかった。
いつだって、並んで歩く時だって、間にレイを挟んでいた。