この胸が痛むのは
トルラキア語を知る人間が少ないからと、あの時はそれで話をしただけだ。
アグネスにちゃんと、俺も外交の為に語学を勉強中だと説明していたら、ここまでの誤解はさせなかった。
手始めにトルラキア語を選択したのは、それこそ君とだけの会話をしたくて……


あの後、温室で俺に組み紐を手渡したアグネスの心情を思うと、申し訳なくて震えた。
最悪だ、アグネスが呪いを掛ける原因を作ったのも俺だった。
君を苦しめていたのは俺だったんだ。

呪いを受けるべきは俺だった。


 ◇◇◇


「殿下がクラリスに愛していると言っていた
のね?
 それを聞いて貴女はどうしたの?」

「それは……」


もうここまでにしてくれ、もう聞かせないでくれ、そうお願いしたかった。

ドレスとカードについてまでは先生に話したが、温室での話はしていなかった。
狡い俺の中では、それはアグネスにいつか話して謝ろうとは思っていた事だったけれど、他の人には知られたくなかったからだ。

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