この胸が痛むのは
俺の愚かさが遡って明るみになっていく。
アグネスの手を握る掌に汗をかき始めていた。
「ドレス、贈った、カード、カムフラージュ、
誤解……
ふたりは話していて……」
アグネスがトルラキア語で単語を話し続けていく。
万が一、誰かに聞かれてもばれないからと、バロウズの言葉でなく外国語を使用した事実が。
こうして晒されると、それが如何に秘密めいて
淫靡な関係であると受け取られるか、突き付けられた様な気がした。
「それで殿下がクラリスにドレスとカードを贈ったのかもと思って……
探しに行って見つけたの。
綺麗な、すごく素敵なドレスと……」
「カードも見たのね?」
あれだけは、あれだけは君に見られたくない。
そう祈ったが、アグネスは微かに頷いた。
「ドレスはどうしたの?」
「お姉様のお部屋に……でも、消えてしまったの。
王太子殿下に命じられて、皆で探したけれど……」
夫人の問いに、アグネスは苦しそうに眉をひそめた。
そして、俺の手から自分の手をそろそろと、引き抜こうとしていたので、慌ててその手を掴んだ。
今この手を離してしまったら、二度と掴まえられない、そう思って。
ドレスだけじゃなく、カードまで見られていた。
俺に手を握られたくないのはショックだが、無理もない。
アグネスの手を握る掌に汗をかき始めていた。
「ドレス、贈った、カード、カムフラージュ、
誤解……
ふたりは話していて……」
アグネスがトルラキア語で単語を話し続けていく。
万が一、誰かに聞かれてもばれないからと、バロウズの言葉でなく外国語を使用した事実が。
こうして晒されると、それが如何に秘密めいて
淫靡な関係であると受け取られるか、突き付けられた様な気がした。
「それで殿下がクラリスにドレスとカードを贈ったのかもと思って……
探しに行って見つけたの。
綺麗な、すごく素敵なドレスと……」
「カードも見たのね?」
あれだけは、あれだけは君に見られたくない。
そう祈ったが、アグネスは微かに頷いた。
「ドレスはどうしたの?」
「お姉様のお部屋に……でも、消えてしまったの。
王太子殿下に命じられて、皆で探したけれど……」
夫人の問いに、アグネスは苦しそうに眉をひそめた。
そして、俺の手から自分の手をそろそろと、引き抜こうとしていたので、慌ててその手を掴んだ。
今この手を離してしまったら、二度と掴まえられない、そう思って。
ドレスだけじゃなく、カードまで見られていた。
俺に手を握られたくないのはショックだが、無理もない。