この胸が痛むのは
「王都学園には比較的裕福な平民の子弟子女が
通っているの。
 その中で学校からの退学処分ではなく、自ら
中途退学の申し出があれば、呼び出して事情を
聞くことになっていて」

「やはり途中で辞められる方もいらっしゃるん
ですね」

「男子の場合は経済的な理由が多いので、本人に希望を聞いて奨学金でどうにかならないか保護者に確認したりね。
 女生徒は本人の意に染まぬ結婚の可能性もあるのよ」

「……」

「家の為だと言われたら、学校からはどうしようも出来ないけれど、本人から話を聞く事で彼女達の気持ちは少しはましになるの。
 話を聞いてくれる、それだけで救われたと言われることもあって……
 本当に聞くしか出来ない自分に落ち込む日も
あるけれど、とても遣り甲斐のある仕事だと思っているの」

「……リーエは想うひととの結婚でした」

私がそう言うと、アーグネシュ様は懐かしそうに目を細められました。


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