この胸が痛むのは
国王陛下の治世は始まったばかり。
疲れているのは俺だけじゃない。
国の為には走り続けないといけない時もある。


 ◇◇◇


そう信じて、それからの年月も過ごした。
ひとつの国でひとつの仕事を終えて、まとまった休みを取り、アグネスに会いにトルラキアへ行く。

王弟の身分のままで、外国に不動産を持つことはやめて欲しいと、外務から言われて別荘購入を諦めた。
俺だけのヴァンパイア王の肖像画を手に入れる機会は、公爵になるまでお預けになった。

仕方なく王家御用達の高級ホテルに滞在して、何人ものトルラキアの影を引き連れて、アグネスやストロノーヴァ先生と会う。


そんな日々が続いていくと思っていたのに。


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