この胸が痛むのは
「トマシュさんだったよね、ご主人のおばあさんには紹介したの？」

先生が黙ってしまっているので、死人なんとかの内容も知らないのに、俺はアンナリーエ夫人に尋ねた。
彼女は首を振る。


「その前に、先生にしこたま怒られましたから。
　そんな話はアグネスに聞かせるのは厳禁だって。
　それからは申し訳なかったけど、頼まれても
のらりくらり誤魔化していたんです」

彼女は隣のイェニィ夫人をチラッと見て続ける。


「でも、最近はそれを頼みに来なくなって、お互い忙しくなってあまり会えないのもあると思いますけど、諦めたのか気になります、って先生に話したら、殿下とそちらの……
　ストロノーヴァ様にお話を聞いて貰いなさいと、言われまして」

「死人還り、って何なの？」

俺の初心者的質問に答えてくれたのは、イェニィ夫人だった。


「一部で信じられている、死者を呼び戻す術ですわ」

「魔女が行う黒魔術ですか？」

「黒魔術ではないし、行うのは魔女じゃなくて普通の人々なのです」　

そして彼女は語る。
この国の歴史から弱者の人々が、亡くなった息子にもう一度会いたいと願った、その術の謂れを。

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