この胸が痛むのは
その答えから出産の時間は日中だとアグネスは
判断して、16歳時のお篭りは昼だけにしたの
だろうと、推察した。
今日、午後から俺が来ることを知らないアグネスは迎えには出なかった。



俺を迎えたのは家令ゲイルの息子アーサーだ。
彼には話してもいいと、侯爵は家令に言った。
息子も父と同様に、今日これから邸内で起こる事は誰にも話さず、墓場まで持っていく。

今朝からゲイルの姿は見えない。
彼は妻の付き添いで病院へ行った事になっていて
午後には帰れるのかと、アーサーはアグネスから何度か尋ねられたそうだ。


頼りにしていた協力者が不在だったら、君はどうする?
死人還りの手順だけはわかっている。
だが、ひとりでそれを行えるか?

依り代になった自分を呼び戻してくれる協力者が居ないのなら、もう諦めるか?
ゲイルが帰ってこられないのなら、アーサーに
やり方を教えて協力者とし、付け焼き刃で儀式を決行するか?


< 594 / 722 >

この作品をシェア

pagetop