この胸が痛むのは
いくらクラリスに頼まれても、きっぱり断わる事は出来た。
俺はカードを破棄する為ならと思い込んでいたが、クラリスは交換条件にはしていなかった。
ドレスの事も、面倒だからとイライザに任せず、自分で手配していたらよかったんだ。
俺は被害者なんかじゃない。
アグネスにとっては、クラリスよりもイライザ
よりも。
アライアよりも罪深い立派な加害者だった。
「昼食会も無事に終わって、アグネスは疲れて
いるみたいだね。
俺もこの一杯だけいただいたら、帰るよ」
俺がそう言うと、ほっとした様にアグネスは微かな息を吐いた。
ゲイルが居ないのだから、もう死人還りは行わないだろうと信じて。
……そう信じたくて。
彼女を気遣う振りをして。
◇◇◇
あれからアグネスとアーサーに見送られて、侯爵邸を出た。
俺の前には同行していた護衛騎士。
それに扮したノイエが座っていた。
ノイエは一昨日リヨンから到着した。
ストロノーヴァ先生は死人還りに立ち会おうと
してくださっていたのだが、トルラキアを出国
出来そうもなくて、代理にノイエを寄越したのだ。
俺はカードを破棄する為ならと思い込んでいたが、クラリスは交換条件にはしていなかった。
ドレスの事も、面倒だからとイライザに任せず、自分で手配していたらよかったんだ。
俺は被害者なんかじゃない。
アグネスにとっては、クラリスよりもイライザ
よりも。
アライアよりも罪深い立派な加害者だった。
「昼食会も無事に終わって、アグネスは疲れて
いるみたいだね。
俺もこの一杯だけいただいたら、帰るよ」
俺がそう言うと、ほっとした様にアグネスは微かな息を吐いた。
ゲイルが居ないのだから、もう死人還りは行わないだろうと信じて。
……そう信じたくて。
彼女を気遣う振りをして。
◇◇◇
あれからアグネスとアーサーに見送られて、侯爵邸を出た。
俺の前には同行していた護衛騎士。
それに扮したノイエが座っていた。
ノイエは一昨日リヨンから到着した。
ストロノーヴァ先生は死人還りに立ち会おうと
してくださっていたのだが、トルラキアを出国
出来そうもなくて、代理にノイエを寄越したのだ。