この胸が痛むのは
この時点で既に気付いていました。
クラブでイロナ部長から教えていただいた
死人還りのやり方が中途半端だった事にです。
死人を召還する言葉も、帰って貰う言葉も。
何も知らない。
知っていたのは必要な物とおおよその手順だけ。
不安な心持ちのまま、頭を下げて。
姉の事だけを思おうとしました。
既に回り終わったロレッタはこの部屋から慌てて逃げていました。
私の側に置かれた燭台とセージを乗せたトレイ。
そして、部屋にたなびく煙とひとりきりの私。
扉をノックする音が聞こえた気がしたのは、それからどのくらい経ってからでしょうか。
私は私のままでした。
それなりに用意して待っていたのに、クラリスは還ってきてくれなかった。
さっきより強く扉が叩かれました。
ロレッタが、戻ってきたのでしょうか。
1時間後には戻ってきてと、頼んでいました。
もう1時間経ったのでしょうか。
鍵が差し込まれて、回る音がしました。
入ってきたのは、帰られた筈のアシュフォード
殿下でした。
クラブでイロナ部長から教えていただいた
死人還りのやり方が中途半端だった事にです。
死人を召還する言葉も、帰って貰う言葉も。
何も知らない。
知っていたのは必要な物とおおよその手順だけ。
不安な心持ちのまま、頭を下げて。
姉の事だけを思おうとしました。
既に回り終わったロレッタはこの部屋から慌てて逃げていました。
私の側に置かれた燭台とセージを乗せたトレイ。
そして、部屋にたなびく煙とひとりきりの私。
扉をノックする音が聞こえた気がしたのは、それからどのくらい経ってからでしょうか。
私は私のままでした。
それなりに用意して待っていたのに、クラリスは還ってきてくれなかった。
さっきより強く扉が叩かれました。
ロレッタが、戻ってきたのでしょうか。
1時間後には戻ってきてと、頼んでいました。
もう1時間経ったのでしょうか。
鍵が差し込まれて、回る音がしました。
入ってきたのは、帰られた筈のアシュフォード
殿下でした。