この胸が痛むのは
「この前の続きを教えて」

お母様にお話の続きを聞かせて欲しいと、お願いした。
お父様が鏡を割ったところまで、話は聞いた。

今日はリーエおばさんのところのノンナが遊びに来ていた。
私とノンナはお父様とお母様の10年間の恋のお話を聞くのが大好きなので、ノンナが来ると決まって、ふたりでお母様にお話しくださるようにお願いをする。


一回につき、ひとつのエピソード。
前回は死人還りの後半と自分のドレスなのに間違えちゃったお話で、私達はきゃあきゃあと大興奮した。

亡くなったクラリス伯母様に配達されたドレスはお母様が留学中にプレストン伯父様からお父様に返却されていたそうだ。


「それで、鏡を割ったフォード様は……」


 ◇◇◇


フォード様は肘の腱を切ってしまう大怪我をされました。
扉のところに立っていた護衛騎士様はオルツォ様でした。
粉々になった鏡と痛みに耐えかねて座り込んだ
フォード様、そして泣き叫ぶ私。

阿鼻叫喚というのかしら、血が辺りに飛んでいて。

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