この胸が痛むのは
ところが。
行くと先触れを出していたのに、アグネスは留守だった。
俺を迎え入れた侯爵とクラリスから、アグネスと侯爵夫人が夫人の実家へ行ったのだと聞かされた。
祖母が足を挫いてしまったので、今日は泊まりで行ったらしい。
がっかりしながら、3人で応接室に移動する。
「母上とは話をしない、と聞いていたけれど。
よかった、仲直りしたんだね」
「……いいえ、相変わらず、だんまりで。
馬車に向かい合って座っても、お互い目も合わせず。
それはアグネスに、ですわね?」
応接室に案内されている途中、立ち止まって
クラリスが俺に尋ねた。
侯爵も俺が手にしているマシュマロの箱を見ていた。
「それはどうも、お心遣い痛み入ります」
「誰か、こちらをアグネスの部屋に置いてきて」
先立って、応接室の扉を押さえていた家令が、控えていた侍女に目で合図し、俺から箱を受け取らせた。
俺からアグネスに手渡したかったのに、いないのだから仕方ない。
行くと先触れを出していたのに、アグネスは留守だった。
俺を迎え入れた侯爵とクラリスから、アグネスと侯爵夫人が夫人の実家へ行ったのだと聞かされた。
祖母が足を挫いてしまったので、今日は泊まりで行ったらしい。
がっかりしながら、3人で応接室に移動する。
「母上とは話をしない、と聞いていたけれど。
よかった、仲直りしたんだね」
「……いいえ、相変わらず、だんまりで。
馬車に向かい合って座っても、お互い目も合わせず。
それはアグネスに、ですわね?」
応接室に案内されている途中、立ち止まって
クラリスが俺に尋ねた。
侯爵も俺が手にしているマシュマロの箱を見ていた。
「それはどうも、お心遣い痛み入ります」
「誰か、こちらをアグネスの部屋に置いてきて」
先立って、応接室の扉を押さえていた家令が、控えていた侍女に目で合図し、俺から箱を受け取らせた。
俺からアグネスに手渡したかったのに、いないのだから仕方ない。