この胸が痛むのは
「俺の時は、同じ学年に第2王子殿下がいらしたから、幸運だったが。
 これからの6年、学院の中でトップはお前に
なる。
 王家も公爵家も、お前より5年以内の男子は
居ないからな。
 どうしても、皆の注目はお前に集まる。
 この意味はわかるよな?」 

「……はい」

高位貴族達は王家の出産に合わせて、子作りをする。
将来、側近や妃に選ばれる様にと。
兄も第2王子に合わせて誕生したが、ノイエの代には王族も公爵家の子息もいなかったので、自然と身分が一番高いのがノイエになる。


だが本当は、それだけで自分に注目が集まるなど理由はわかっていなかった。
それよりも兄とエリザの婚約話に胸が張り裂けそうになっていた。


「オルツォのお前は出来て当たり前、出来な
ければ家名の面汚しと呼ばれる。
 お前は周りの者からは優先的に扱われるが、
それを当然と思うなよ?
 いい気になるなよ?
 出来なければ、その家名に相応しくないと
思われれば、掌を返される」

「……」 

いい気になっているのは、お前だ! と。
叫びたかった。
半年かけて、両親を。
あのストロノーヴァであるというプライドの塊の母を説得して、望むものを、エリザベートを手に入れた。
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