この胸が痛むのは
お前は世界を手に入れたつもりになっているん
だろう?
俺から奪ったくせに。
俺の方がエリザとは仲良かったんだ。
俺がもう少し、早くに動いていたら、お前は今
笑えていなかったのに。
お前なんか……赤い瞳じゃないくせに。
……違う、いい気になっていたのは、俺だ。
一族の男子で赤い瞳を受け継いだのは、俺だけ
だった。
ストロノーヴァの両翼、オルツォの次男。
だけど、俺は赤い目をしていて。
俺だけが赤い目をしていて。
俺だけがストロノーヴァ公爵家の当主の私室まで入ることを許されていたから。
自分は特別だと、いい気になっていた。
気持ちはどんどん荒んでいき、どうでもいいことに腹を立てて。
その時期が過ぎると、次は投げやりになった。
しばらく公爵家から出ていたミハン叔父上が戻ってきて、周囲は身を固めさそうと躍起になって
いたのに、本人にはその気が無さそうで。
諦めた当代と、イオン祖父が俺をミハン叔父上の養子にしようと、話し始めているとか。
それもこれも、もうどうでもいいかと、思うくらい。
人生を投げていたのだ。
高等部を卒業したら、トルラキアを出よう。
ただ、それだけを決めて。
その日が来るまで、毎日を過ごすだけ……
そんな時だった。
図書室でひとり本を読んでいた。
昼休みに時々、友人達と離れて図書室に来ていた。
そして出会った。
バロウズからの留学生。
ひとつ年下の、アグネス・スローン侯爵令嬢に。
だろう?
俺から奪ったくせに。
俺の方がエリザとは仲良かったんだ。
俺がもう少し、早くに動いていたら、お前は今
笑えていなかったのに。
お前なんか……赤い瞳じゃないくせに。
……違う、いい気になっていたのは、俺だ。
一族の男子で赤い瞳を受け継いだのは、俺だけ
だった。
ストロノーヴァの両翼、オルツォの次男。
だけど、俺は赤い目をしていて。
俺だけが赤い目をしていて。
俺だけがストロノーヴァ公爵家の当主の私室まで入ることを許されていたから。
自分は特別だと、いい気になっていた。
気持ちはどんどん荒んでいき、どうでもいいことに腹を立てて。
その時期が過ぎると、次は投げやりになった。
しばらく公爵家から出ていたミハン叔父上が戻ってきて、周囲は身を固めさそうと躍起になって
いたのに、本人にはその気が無さそうで。
諦めた当代と、イオン祖父が俺をミハン叔父上の養子にしようと、話し始めているとか。
それもこれも、もうどうでもいいかと、思うくらい。
人生を投げていたのだ。
高等部を卒業したら、トルラキアを出よう。
ただ、それだけを決めて。
その日が来るまで、毎日を過ごすだけ……
そんな時だった。
図書室でひとり本を読んでいた。
昼休みに時々、友人達と離れて図書室に来ていた。
そして出会った。
バロウズからの留学生。
ひとつ年下の、アグネス・スローン侯爵令嬢に。