この胸が痛むのは
ノイエ2
「わかりました。
その御方が了承したら、受けてくださるのね」
エリザベートが微笑んだ。
その微笑みを久しぶりに正面から見て、ノイエは複雑な思いだった。
俺こそ……こんな出演の条件を、エリザが受けるとは思っていなかった。
例の新入生はものすごい美少女だと、噂になっていた。
1年生の教室まで覗きに行った奴等が、騒いで
いた。
輝く金髪に、深い青の瞳。
首と手足が長く、他の少女より頭ひとつ出ているのに、大柄な印象を与えない物静かで儚げな異国の少女。
誰もが意識して気軽に近付けず、遠巻きに見ていた。
だから、名前も、どこのクラスかも、知っていたのに。
エリザベートの反応が見たくて。
その少女が相手役ならと、言ったのだ。
名前も知らないけれど、連れてきてくれたら、
前向きに考える。
演技の素人が何様のつもりだ。
誰かしら声をあげると思ったのに、言い分が通ってしまった……
去年の夏から頼まれていた。
エリザベートが部長を勤める中等部の演劇部の
次の公演。
『ヴァンパイアの花嫁』に、主役で出てほしいと。
ちゃんとした演技などしたことはない。
幼い頃にエリザベートと、ごっこで別人になり
きって遊んだだけだ。
母の侍女やメイド、大人を巻き込んで。
その御方が了承したら、受けてくださるのね」
エリザベートが微笑んだ。
その微笑みを久しぶりに正面から見て、ノイエは複雑な思いだった。
俺こそ……こんな出演の条件を、エリザが受けるとは思っていなかった。
例の新入生はものすごい美少女だと、噂になっていた。
1年生の教室まで覗きに行った奴等が、騒いで
いた。
輝く金髪に、深い青の瞳。
首と手足が長く、他の少女より頭ひとつ出ているのに、大柄な印象を与えない物静かで儚げな異国の少女。
誰もが意識して気軽に近付けず、遠巻きに見ていた。
だから、名前も、どこのクラスかも、知っていたのに。
エリザベートの反応が見たくて。
その少女が相手役ならと、言ったのだ。
名前も知らないけれど、連れてきてくれたら、
前向きに考える。
演技の素人が何様のつもりだ。
誰かしら声をあげると思ったのに、言い分が通ってしまった……
去年の夏から頼まれていた。
エリザベートが部長を勤める中等部の演劇部の
次の公演。
『ヴァンパイアの花嫁』に、主役で出てほしいと。
ちゃんとした演技などしたことはない。
幼い頃にエリザベートと、ごっこで別人になり
きって遊んだだけだ。
母の侍女やメイド、大人を巻き込んで。