この胸が痛むのは
誰が何を言っても、殿下は左手でアグネスを固く抱いていて、アグネスは両腕をしっかりと殿下の身体に回していた。
10年間ぐずぐずやっていたふたりだった。
いい加減に離れてしまえと、自分以外にも思っていた者も居るはずだ。
『殿下の運命の、真実の愛がどうなるか、見届けてくれ』と、ミハン叔父上に頼まれていた。
結局は簡単な事だった。
『離れたくない』それだけ。
ふたりにとって、それだけが全て、だったんだ。
やってられないな、そう呆れながらも、侍医を
呼ぶ為に階段を駆け下りるノイエの足取りは
軽かった。
この後、新しいストロノーヴァ公爵閣下に。
事の次第を報告する為にトルラキアへ帰国する。
久しぶりにオルツォの邸へ帰ろう。
兄と義姉の間に甥っ子が生まれたと聞いていた。
初めて抱かせて貰う甥っ子へのお土産は何にしようか……
侯爵家の扉を開けた時、ノイエには虹が見えた気がした。
10年間ぐずぐずやっていたふたりだった。
いい加減に離れてしまえと、自分以外にも思っていた者も居るはずだ。
『殿下の運命の、真実の愛がどうなるか、見届けてくれ』と、ミハン叔父上に頼まれていた。
結局は簡単な事だった。
『離れたくない』それだけ。
ふたりにとって、それだけが全て、だったんだ。
やってられないな、そう呆れながらも、侍医を
呼ぶ為に階段を駆け下りるノイエの足取りは
軽かった。
この後、新しいストロノーヴァ公爵閣下に。
事の次第を報告する為にトルラキアへ帰国する。
久しぶりにオルツォの邸へ帰ろう。
兄と義姉の間に甥っ子が生まれたと聞いていた。
初めて抱かせて貰う甥っ子へのお土産は何にしようか……
侯爵家の扉を開けた時、ノイエには虹が見えた気がした。