この胸が痛むのは
『それで、私の報酬は?』

『私の望むモノを戴けるのなら、喜んで協力を
させていただきますわ』



母国の王子直々の頼みに、ふてぶてしく、そう
答えるご令嬢だった。
その上、報酬は何なのかを尋ねたアシュが、
『俺との婚約とかは無理』と、釘を刺せば。

『あんたなんか、いらない』と、口に出さずに
伝えてくる。

そんなところもいいと、レイノルドは思っていたのだ。


反対に第3王子のアシュはこれまで、女性から
こんな扱いを受けたことがなくて、目を見開いていた。
見た目最高で、作り笑いが得意なアシュは、この時まで迫る女性達を軽くあしらっていたのに。
一風変わったクラリスにペースを乱されるようになる始まりがこの時だった。


 ◇◇◇


夏休みにトルラキアへ行くぞと、アシュフォードから言われた。
お前の母上には、絶対に内緒にしてくれと。


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