この胸が痛むのは
アシュフォードは友人で、乳兄弟で、多分将来的には主になる王子殿下だが。
何を血迷ったのか、春から初等部の子供に入れあげて、好きだの何だの言い出した困った王子様だ。

その子は夏休みに入るとすぐ、祖母とトルラキアへ旅行に行った。
それを追いかける、と言うことか。
正に血迷っている、その言葉がぴったりだと、
熱く語る乳兄弟を呆れた目で見るレイノルドだった。

帰ってくるのを待てばいいのに、何でわざわざ
行くかね?
そう聞きたいけれど、黙っていた。
取り敢えず、殿下の話は聞こうか。


クラリスから貰った妹からの絵葉書を手にして、『行くぞ』と力が入っているのはいい。

しかし、資金は?出国の段取りは?護衛は?
聞いても要領を得ない。
これだから、うちの王子様は……。


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