この胸が痛むのは
それも潜入の様に、アシュフォードとレイノルドと護衛が4名で、カランの同行は無し。
偽名の旅券に、髪を染めた。

そして現地に2泊の強行日程。
リヨンの王宮へ王配のクライン殿下に会いに行ったアシュフォードの表情は硬く、戻ってきた彼はぴりぴりした空気を纏っていた。


だが、本人からは何も聞いていないので、こちらからは尋ねられなかった。
乳兄弟とは言え、相手は主だ。
アシュフォードだから、彼からの言葉は命令ではなく、相談になり、連絡になる。

しかしもう、学生の頃とは違う。
自分達は同列には並べない。
主と臣下、その関係がこの先ずっと続く。

短い期間の精神的な浮き沈みが、アシュフォードの健康にも影響を与えているのだろうか。
出来るだけ、王弟には持ちこたえて貰わなければならない。

カランと誓い合っていた。
3人は一蓮托生、アシュフォードが沈めば自分達も浮き上がれないし。
……それよりも。


「昼食の食事量は少々。
 帰城後、どんどん量が減っていますね。
 今は湯浴みをされていて、お召し替え後にお迎えへ行かれます」


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