この胸が痛むのは
お迎えとはアグネス・スローン侯爵令嬢だ。
アシュフォードは7年、この夜を待っていた。 
それはレイノルドも、カランもだ。
彼女が気持ちに応えてくれたら、アシュフォードの支えにどれだけなるだろう。
申し込む場所はテラスがいい。
だから、16になる乙女が好みそうに設えた。


 ◇◇◇


3年ぶりに顔を合わせたアグネスは、思春期を
迎えて明らかに姉とは違って見えた。
顔立ちは変わっていないから親しくスローン姉妹と接していなければ、似ていると思っただろうが。
レイノルドから見たら、アグネスはクラリスに、もう似てはいなかった。
纏う雰囲気、浮かべる表情が違う。


レイノルドは開場時間まで、別室に通された
アグネスの相手をアシュフォードから頼まれて
いた。
護衛騎士をこの場に付けているとは言え、美しく成長したアグネスと個室にふたりきりを許したのは、自分に対する信頼の現れだとレイノルドは 嬉しかった。

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