この胸が痛むのは
「乳母だからと、いつまでも居座ろうとする女
とは、君は違うと思っていた。
 独り者だったな?
 これからは情報を持つ女性と付き合うのを、
薦める」


黙礼して静かに執務室の扉を閉める。
王城は確かに変わりつつある。

夜会の外で行われる、淫靡なものを排除したいと言えば、直ぐに要望は叶えられた。 

先日まで、一緒に同行していた護衛の近衛騎士達は文官の自分とは違い、強行な日程にも平気な顔をして、あれからも休まず変わらず勤務に従事している。

近衛達の選考基準も変わり、家柄、見た目より、体力や剣さばきに重点が置かれるようになって、日々の訓練も以前のものとは比べようもないと
聞いた。
クリスチャンの様な軟派な近衛は、排除されたということなのか。

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