この胸が痛むのは
帝国大学生は優秀で、将来のエリートともてはやされていても。
男の中身なんて皆一緒だ。
15の頃と変わらない。 


だから、この時はまだ。
ミハンも笑っていられた。


 ◇◇◇


「国にまで、会いに来てくれたら、その時初めて考えます」

それはいつもの決まり文句だった。
物好きにも自分に愛を告げてくる女性には、誰に対してもそう返事した。

バロウズにやって来た年は、それはもう、頻繁に告白された。
全て、この瞳のせいかと、前髪を伸ばして目を隠した。

昔から言われ続けた『その瞳に抗えないの』と。
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