この胸が痛むのは
夜会当日、事前に伝えていた通りパートナーの
クラリスを侯爵家へ迎えに行く事はしなかった。
普通、単なる女友達を迎えには行かないよな?
そう言った俺に、レイが
『じゃあ、俺が迎えに……』と、手を挙げたので。

やめなさい、と止める。
なんか三角関係みたいで、それはそれで注目を
集めるだろう。
そう言うと、渋々諦めてくれた。 
クラリスもなぁ、実りそうもない片想いなんか
諦めて、コイツにしてくれたらいいのに。



クラリスが気持ちを告白した時、ストロノーヴァは、喜ぶでもなく困るでもなく怒るでもなく。
『卒業してウチの国まで会いに来たら、その時
初めて考えますよ』と、淡々と答えたそうだ。

それは暗に逃げられたのでは?
そう言った俺にクラリスは、顎をあげた。


「来年、あちらに戻られた先生が何処に住み、
どのような生活をされているのか、それを殿下
には追跡調査して戴きたいのです。
 その時点で先生に決まった方がいらっしゃったなら、諦めもつくと言うものです」


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