この胸が痛むのは
ここでデビュタント前のバージニアとエドアルドが退場。
夜会は開始時間が遅いので、子供は直ぐに帰される。
膨れっ面で会場を後にしなくてはいけないバージニアを目で追い、妹よりも年下のアグネスの事を思い出す。
……後7年か。


それまで何度も一緒にダンスの練習をしよう。
君のデビュタントは俺が完璧にエスコートする
から。
ドレスも靴も花も、俺の瞳の色の首飾りも全部
用意しよう。
当然、送迎もする。
君のファーストダンスも2曲目もその後も、ずっと踊ろう。

アグネスが成長した姿を想像すれば、目の前の
クラリスと重なった。
ふたりはさすが姉妹で、似ているから仕方ない。


「何を考えていらっしゃるのか、当てて見せましょうか?」


成長したアグネスがニヤリと言う感じで笑う。
クソ! やっぱり全然違う。
アグネスならこんな笑い方はしないな。


「当てなくていい」

「7年なんて、直ぐです。
 お楽しみになさいませ」



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