この胸が痛むのは

第3話

フォードと名乗られた男性は、自分の事を簡単に説明されました。


「私は色々と見習いの身でして、決まった仕事など就いていないので、時間があるのです。
 あー、それと2ヶ月後に16歳になります」 


色々と見習い、とは?
普通見習いの期間なら、覚えなくてはいけない事が多く、こんなところでゆっくり休憩などしていられるはずもないのに。
彼の苦し紛れな言い分をそのまま信じた私は子供でした。


「左様でございますか……あの、お手伝いしてくださるとおっしゃるのは?」

「レディは本日は、バージニア王女殿下のお茶会に?」

「御存じなのですか?」

「麗しい小さなご令嬢方が、続々といらっしゃいましたからね……」


後から親しくなってから、アシュフォード殿下が教えてくださった事なのですが。
殿下がこのお茶会の席から離れた庭園の四阿の裏で隠れるように過ごされていたのは、王女殿下のせいでした。
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