エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
瑠衣が口を挟む間もなく、あれよあれよと両親から大和とふたりで見送られ、近くの緑地公園へやってきた。
梅雨入りしたとは思えないほど連日晴れの日が続き、今日も日中は二十五度を超える夏日だったが、夜は日差しがない分気温はさほど高くない。
しかし湿度は高く、じめっとした空気が肌にまとわりつくようで快適とは言い難い。
ゆっくりとした足取りで歩く大和は、公園につくまでひと言も話さなかった。
もしかしたら、断り文句を考えているのかもしれない。
事務所のトップである所長から、突然〝娘と結婚して跡継ぎをもうけてほしい〟と言われ、困惑しないはずがない。
けれど上司相手に即座に断れず、こうして瑠衣と話して時間を稼ごうとしているのではないか。
(それに、こんなにかっこいい高城さんなら、恋人がいるに決まってる……)
瑠衣の少し前を歩く大和は、身長差から考えてゆうに百八十センチはあるだろう。
細身のスーツをモデルのように着こなしている彼は、驚くほど腰の位置が高く脚が長い。
抜群の容姿に国際弁護士という輝かしい職業、三十一歳で独身となれば、周りの女性達が放っておくはずがない。
一方の瑠衣はといえば、女性の平均身長である百五十八センチはあるものの、母親譲りの大きな黒目に白い肌、マシュマロのようなほっぺで、昔から年相応に見られたことがない。