エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
大和とは日を置かずに誘われるまま身体を重ねていて、初夜以来一貫して優しく大事に抱かれている。
痛みを感じないよう丁寧で、瑠衣が嫌がることは決してしない。
しかし彼は最近、瑠衣から欲しがるように仕向けてくるのだ。
焦らすように触れられ、思い出すだけでも恥ずかしくなるような言葉を言わされる。
抵抗するように首を振っても許されず、それは瑠衣が本気で嫌がっていないと見抜いているからなのだと思うと、羞恥でどうにかなってしまいそうだった。
つい先日の濃厚な一夜を思い出してしまい、慌てて頭の上でパタパタと手をはたき、不埒な思考を脳裏から追い出す。
瑠衣が手を振っているように見えたのか、それに気付いた大和が応えるように片手を上げ、歩幅を大きくして近付いてきた。
「お、お疲れ様です」
「あぁ、瑠衣もお疲れ様。……少し顔が赤い。なにかあった?」
「いえ! 大丈夫です。帰りましょう」
そのまま帰路についたが、赤くなった顔の理由を聞かれたらどうしようかと挙動不審になっていた瑠衣は、大和の瞳に嫉妬の炎が宿ったことにも、口数がいつもより極端に少ないことにも気付かなかった。