エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
大和は留学中も彼女と個人的な関係はなく、帰国直後から瑠衣に淡い想いを寄せていたのだという。
信じるまで何度でも伝えると言った彼の真剣な眼差しに嘘はなく、心に渦巻いていた不安や嫉妬心は、大和が些細な過去の出来事や心境まで瑠衣に打ち明けることで、すべて消し去ってくれた。
ソファで無我夢中で愛し合ったあと、はずかしいから嫌だと抵抗したのも虚しくふたり一緒に風呂に入り、そこで色んな話をした。
大和は元々如月法律事務所に骨を埋めるつもりで就職したし、M&A専門の弁護士としてどんな企業相手にも対応できるよう海外の法務を勉強しようと留学したこと。
働いていたR&Tを去る際『このままウチで働かないか』と打診はあったものの、英利のもとで働きたいからその場で断ったこと。
さらに、結婚前に如月の籍に入るべきかと聞きに行った時の英利の言葉も教えてくれた。
『特に名前や血筋に拘ってるわけじゃないんだ。僕はね、ただ父から受け継いだこの事務所が、困った人や企業の手助けをする場所として、ずっと続いてくれればいいと思ってる』
そう言った英利にとって、ふたりの子供に事務所を繋いでいってほしいというのは本音ではあるけれど、希望であって決して強制ではない。
もしも子供ができなかったり、瑠衣のように弁護士にならなかったとしても、きっと英利なら幸せを願ってくれるだろうと、彼の気持ちを代弁した。