エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
瑠衣の父がきっかけで弁護士になったのは知っていたけれど、大和が英利に対してどれほど尊敬の念を抱いているのかを目の当たりにし、若干の疑問を抱いた。
(お父さんって、そんなに凄い弁護士だったんだ)
家では愛妻家として妻の依子を大切にし、瑠衣にとっても優しい父親。たまに突拍子もないことを言い出して依子と瑠衣を困らせる、どこにでもいる普通のおじさんだ。
そう告げると、大和は可笑しそうに笑って頷いた。
『どれだけ優秀な弁護士だって、大切な女性の前では普通の男だよ。もちろん、俺も』
滴るような色気を含んだ流し目に捉えられ、そのまま風呂場でも情熱的に抱かれた。
これでもかと愛を伝え、大事にしようと言葉だけでなく態度で示されれば、瑠衣の心にこびりついていた不安など溶けてなくなっていく。
だから大和が沙良とふたりで会うことに抵抗はなかったのだが、大和は少しの不安も与えたくないと告げてきた。
過保護なほど甘やかされている気がしてむず痒いが、当然嫌な気はしない。
むしろ大切にしてもらえて嬉しいし、安心させようと心を砕いてくれる大和の誠実さと頼もしさに、より一層惹かれていく。