エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
「先生が知らないだけで、瑠衣には恋人がいたりする?」
「い、いえ。今はいないです。むしろ高城さんの方が」
「俺もいないよ。そうじゃなきゃ、こうして瑠衣に結婚を申し込んだりしない」
真摯な眼差しに射すくめられ、瑠衣の頬がみるみるうちに赤くなる。
それでも視線を逸らせずに見つめ合ったままでいると、大和の長い指が熱くなった頬に触れてきた。
「俺が結婚相手では不満かな」
「まさか! 逆ですよ。高城さんこそ、父への恩とか、理想の家族だとか、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、本当に私なんかでいいんですか?」
事務所のあとを継ぐのも、結婚も、子供をつくるのも、すべて自分の人生を賭けた一生の問題だ。
すぐに答えを出して後悔するなんてことになったら、取り返しがつかない。
そう伝えたけれど、彼の決意は揺らがなかった。
「もちろん。瑠衣さえよければ」
(私は、この結婚をどう思ってる……?)
まさか大和が受け入れるとは思っていなかったから、自分がどうかなんて考えていなかった。